夜9時頃、道場で打ち合わせがあるので家を出たところ、
父に似たような人影があった。帽子とか背格好とか似ていてなんとなく見ていたら
その方に近くの駅までの道を尋ねられた。
私はもともと方向音痴なのに道を聞かれることが多く
大学生の卒業旅行の時にアスペンで夜一人で歩いているときに
アメリカ人のこどもに道を聞かれたくらいだ。(なんでまたアジア人に道を聞くんだ??)
最近ではなるべく聞かれないように目を伏せてあることが増えたとともに、年齢を重ねて聞かれなくなってきたように思うのだが、今回はなんか違った。
一度説明した後、「横断歩道もわたってくださいね」と振り返って追加の説明もした。
「ここで間違っちゃったのかな、最近理解力が落ちてきて」と父よりさらに紳士的な感じの方だった。
いろいろあるが、小さなよいこと(と私が勝手に思うことかもだが。徳といいたいところだが)を積んでいったら、いつかよいことがおこるだろうか、と後で思った。
それよりも、スーパーの前でその方とわかれたあとは、「こういうことをしていたら、天国にいったら父に会えるだろうか。おねがい、あわせてください」と何度か思って涙がうかんだ。
父はかなり面倒な性格だったと思うが、亡くなった後はずっと、父ならきっとわかってくれるだろうと思うことが多く、鼻の奥がいつもツンとなる。