「被害者意識」。言葉だけ取り出すと、とても強いネガティブなイメージだ。
実際そうなのかもしれないが、もっとソフトな意味合いにおいて、今の私の
課題のひとつになっている。
例えば、野菜炒めを作っていて、食べてもらった人にコショウが強すぎると
言われたとしよう。今までの私は、その方がおいしいと思っているにも
かかわらず、「ゴメンナサイ〜」というタイプだった。
そこで一歩ふみとどまり、「いや、これでいいんだ」と言えること。
それが被害者意識を払拭して、自分という芯をきちんと持つことにつながる
のだと、師匠は言う。
少々禅問答的で、まだまだ真意が私にはわからないが、うっすらとその奥に
ありそうなものはわかる気がする。そして自分の弱点がそこにあるのだと
いうこともなんとなくは感じる。今までは、それをうまく利用して世渡りを
してきた部分もあったかもしれないが、これからはそれを乗り越えて次に
行かなくてはいけないようだ。
いろいろなものを剃ぎ落とし、自分の芯が感じることをそのまま感じて
みたい。世の中の価値観や慣習、周りの人の言うことや目線にとらわれず
本当に自分がどうしたいか、どう感じるか、その極みに達してみたい。
いつのまに身の回りにこんなにもいろいろなものがまとわりついて
しまったのだろう。本来の感覚を、自分はまだ失っていないことを期待して
夏の夜に深く深く息を吸ってみた。