道場の宴会を抜け出して坂を下り、商店街のお祭りへ出かけた。
「そこの道場のみんなで食べるんで、大盛りにしてください!」
まずは、はみ出すほどの焼きそば4人前をゲット。
次はイカ焼き。先輩は、私の言い方をまねて「そこの道場のみんなで食べる
んで、おっきいイカにしてください!」と言うが、どれも同じ大きさのイカ
を渡された。
焼き鳥は皮ばかりだったので、ちょっとやめ、ヨーヨー釣りも輪投げも、
もう終わってしまっていたので、金魚すくいに挑戦してみる。
出来心でためしたはずなのに、8匹もとれてしまい、自慢気な半分、少々焦り
ながら、道場へとりあえず引き返した。
みんな酔っているので、金魚たちを早くから揚げにしろだとか、生き造りに
しろだとか言うので、ベランダの物干し竿にとりあえずひっかけ非難させた。
自分も飲んでしまい、金魚のことを半分くらい忘れかかっていた頃、ふと
見ると、半分以上がもうぐったりとしていた。夜だから寝ているのか?
いや、そんな感じではない。
あわてて道場から逃げ出し、帰り道に近所の先輩に電話をした。
「すみませんーん、お庭にあった金魚のいけすに、金魚を放ちに行っていい
ですか?」
「そこは大家さんのいけすだから、金魚を入れるのはちょっと。。でも、水を
あげるよ」ということで、結局いけすの水をわけてもらい、ついでに各種
野菜とクッキーと蜂蜜酒までいただいて、早速家で金魚をガラスの器に放った。
すでに、8匹中、6匹がお亡くなりになってした。
翌朝、もう1匹が死んでいた。
翌々朝、さいごの1匹も死んでしまった。
家の向かいのサクラの木のふもとにみんな埋めた。
お祭りの金魚だから仕方ないという。たしかにそうなのかもしれない。
大人になると、そういうことがわかるようになるという。
でも私はまるで子供のように、金魚にツライ思いをさせてしまった。
もうお祭りで、金魚をすくうのは、やめよう。本当にやめよう。
【編集者の2行】
東京都大会、昨年は1回戦負けだったが、今年は3回戦まで行けた。
けっこうびっくりだ。これからもお稽古に精進しよう。