週末、道場の三十周年記念行事があった。
この行事のために、フランス人やアメリカ人が数十人来日しており、
そのうちの何人かと一緒にお稽古する機会があった。
驚いたことに、彼らのほとんどが十年以上も日本の古武道である杖道を
続けていて、中には二十年以上という人までいて、まだまだ初心者の私など、
足元どころか踵の角にもおよばない。
日本人として日本をもっと知りたくて始めた杖道だが、彼らは何をもって
このマイナーな武道を十何年も続けているというのだろう。
日本の武道ってカッコイイから、といって続けられる類のものでは全くない
ことだけは確かだ。何が嬉しくて、日本まで高い旅費と宿泊費を払ってまで
ただただお稽古をしに来るのだろう。彼らは滞在中、お稽古と夜の
ミーティング(宴会?)以外のことを殆どしないのだ。それも10日以上も。
日本人として、こんなことでよいのか?と思ったりもするが、年月そのものは
埋められるものではない。
外国で暮らして、日本を知りたくなって始めた杖道。そこで自分よりも遥かに
先輩の外国人から日本の古武道を習う。日本人としての自分とは、いったい
何なのだろう。少しでも自分で納得のいく答えがみつかるまで、もう少し
稽古にはげむしかないのかもしれない。
【編集者の2行】
「星の王子様」の新訳を読んでみた。かなり深い話だった。子供の頃は、この
話をもっとダイレクトに受け止められたのだろうか。