毎日が本番

ライフログ

さくらんぼ

師匠はさくらんぼが大好きだった。
毎年お取り寄せをして、北海道のが大きくておいしいとか新しい秀峰というのが出たとか、話しながら食べ比べるのを楽しみにしていた。
ここ2,3年は、よくわからず凍らせてしまったりしたり、留守のときに代引きを受け取ったりしなくてはならず大変だったこともあるが、とにかく好きだったことと、必ず美味しいからといって食べさせてくれたことが今でも涙が出そうな大切な思い出だ。

数日前、懇意にしている山形の先生からさくらんぼが送られてきたという。
師匠が大好きだったからだ。そういえば、私もかわりにお礼状をかいたことがあったな。
その先生に、京都大会などで先輩も話をしていたから、我々に送ってくれたのだと信じたいのだが、先輩が言うには、「食べました、少し残しておきました」といったような経緯を何も理解していないご家族からのメールがきたとのこと。
さもありなんと思う。いちじが万事と思う。
ただ、悪気もなく、単に美味しそうだから持っていっただけだ。
いろいろな渦巻く気持ちもあるけれど(特に先輩からはやるせない気持ちが伝わってきたけれど)だからどうしろというのだろう。何も変わらない。その人達の価値観だから。

私は、先日お見舞いのときに、スーパーで買ったさくらんぼではあるけれど、枝を残して原型を崩さないように種を取り出して細工して持っていった自分が大好きだから、それでいいことにした。
師匠もいろいろなこと、覚えているかどうか全然わからないが、さくらんぼをもりもり食べていたことだけは事実だから。もうそれだけで十分だ。