この天涯孤独感をどうにかしたくて、外へ出た。
明治神宮がけむって見える。
新宿方面の空は薄紫色だ。
そういえば、今日は仕事中も画面がよく紫色に見えた。
ケータイの待ち受け画面の富士山までもが紫色で、袖口でぬぐってみたら
だんだん普通になったから忘れていたけれど、今日は世界が紫色なのだ。
自分の血と肉をわけた子供のいる人。
心をわかちあう家族のいる人。
そんな友人を思いながら、代々木の空を見上げる。
「天蓋孤独」。
うす明るい空は、明らかに夏より高くなっていて、いくつか冬の星が見える。
私には、血とか肉とか、そういうリアリティレベルの家族がいない。
それは自分自身の問題かもしれないが、自分としては骨髄からもそれを
欲しているのにもかかわらず、今まで感じられたことがない。
押しつぶされそうなほどの実感のある生きる感覚が、いつかわかるときが
くるのか。
天蓋孤独な私にも。
【編集者の2行】
突然心にピカッと閃くことがある。
それって、たぶん真実なんだと思う。