毎日が本番

ライフログ

小さい頃見た柔道の選手といえば、山下選手だった。
 ウルトラマン等ヒーロー物好きの私には、強すぎて、いつも勝っていて、
 ツマラナイとさえ思うような圧倒的な彼が、金メダルを取って優勝した時の
 試合は、今でもうっすらと覚えている。
 確か怪我をしていた。そして勝って、勝ち続けることのつらさを語り、
 日の丸に向かって涙していた。
 よくわからなかったが、そのシーンはいつまでも心に残った。


 自分でいくつかのスポーツをするようになり、勝つことの難しさがわかる
 ようになってきた。大学の関東リーグ4部あたりの選手レベルであったと
 しても、対戦中の心のコントロール、身体のコンディションの整え方は
 時には技術や体力の向上よりも大きな課題だった。


 スポーツで身につけた、心や身体のコントロール法が、仕事でも通じる
 ものだということがわかったのは、自営業を始めてしばらくたった頃
 だったろうか。
 その頃、ちょうどやわらちゃんがシドニーオリンピックで金メダルを取った。
 仕事で移動途中だった私は、東京駅のテレビでそのシーンを見て、ガッツ
 ポーズをしたことを覚えている。


 それから4年。自分にはいろいろなことがおこった。生活環境も随分
 変わった。その間中、やわらちゃんはずっと稽古をし続けてきたのだ。
 結婚をするという変化もあったけれど、ずっと金メダルを取るために
 ひたすら稽古を重ねてきたのだ。


 それだけでも気が遠くなるのに、彼女のオリンピック人生、稽古人生は
 もっと遥か遠く昔からずっとずっと続いているのだ。
 突き詰めた人生。それだけひとつのことに打ち込めるとは、どういうこと
 なのだろう。どういう精神状態なのだろう。
 長い長い間、ずっと多くの人の注目を浴び続け、ずっと努力をし続けて
 そして結果を出していく。彼女は選ばれた人であると同時に、自分の
 努力でその結果を作り続ける力のある人なのだ。


 そんなやわらちゃんが活躍している時代に、ずっと彼女の成長を見続けて
 いられるのは幸せだ。彼女が私に与えてくれたものはとてつもなく大きい。
 怪我をすればだからこそ、集中力を増し、どんなシーンでも一本をとりに
 攻めて行く、そんな生き方でありたい。


【編集者の2行】
 ひとりで99個のうち3個金メダルってどういうことだろう。
 超カッコよすぎる。