急遽、真っ赤なアウディで、等々力から羽田まで運転することになった。
東京をこんな風に走るのは、2年ぶりくらいだろうか。
4、5年程、毎日車で通勤したり、仕入れに行ったり、時にはひとりで旅に出て
いた時のことを、いろいろ思い出した。
環八を走り、日本らしい標識を見ながら、運転席の思い出がいくつもいくつも
頭の中に浮かんだ。
イエローのファンカーゴの運転席で、受注が決まったとき「イエース!!」と
ガッツポーズをとったり、くやしくて大声で「ばかー!!」と叫んだり、携帯に転送
されてきた電話で梅干の注文を取ったり。
馬喰町で次から次へと問屋をまわり、後部座席を平たくしてまでコグマや
梱包材を積み込んだり。
布団や洋服を積み込んで、初台から月島まで引越しもした。
いつもファンカーゴと一緒だった。
2年前の誕生日も、3年前の誕生日も、ファンカーゴとふたりきりで、八ヶ岳へ
行った。そんなことすっかり忘れていたけれど、アウディを運転していたら、
ふと思い出したのだ。
建物などの景色は、日本を離れている間に少し変わったけれど、基本的な
道は変わらない。
ちょうど2年前、拠所ない理由で手放したファンカーゴ。
またマイカーを持つ日が来ることを夢見て、まずは一歩一歩、歩こう。
【編集者の2行】
サトウコウジの観察が、ちゃくちゃくと進んでいるようで、楽しみです。
水をあげたり、体重測定をしたりするのかな〜。