代官山にはじめて行ったのは、当時家出をしていた妹の隠れ家を、ふと思い
立って訪ねた時のことだった。
「いい街だよ」という妹の言葉は妙に説得力があり、その日を境に、私が
いつか住みたい街は吉祥寺から代官山に変わった。
その後「代官山アドレス」でSOHOすることを、真剣に考えた時期も
あったが、マウイで暮らすことにしてから、代官山は私の中で封印された街
となった。
東京に戻ってから1ヶ月半ほど経ち、ようやく代官山をゆっくり散歩する
機会にめぐまれた。代官山を好きになりすぎてはいけないような気がして、
あまり近寄らないようにしていたけれど、歩き出したら、うれしくてうれし
くてたまらなかった。
自分が代官山を歩いているんだという事実がやけにうれしかった。
好きなものはやっぱり好きだと認めることにしようと思った。
過去とか現実とか条件とか、夢をさえぎるものはいっぱいあるかもしれない
けれど、それでもひとつひとつできることから時間がかかっても形にして
いきたい。。。していけるかも、、と思った。
半年前までは、代官山のカフェで「ポールオースターのムーンパレスが
ね、、」なんて話をすることは、もう一生あり得ないことだった。
何度そういうシーンを切望したことだろう。
ありふれたことかもしれないけれど、そんな小さくてリアルな幸せこそが、
生きている意味なのかもとさえ思った。
【編集者の2行】
疲れた〜、とへたりこんでいたら、友人夫婦が脚などをこってりもんでくれました。
ううぅ、キョーレツだった!!!