日曜は渋谷区バドミントン大会団体戦だった。チームの再編成があり、私は
2軍レギュラーから1軍補欠としての出場だった。
1軍は渋谷区のトップレベル、すなわち東京都でも結構強い人達と戦わなくて
はならない。実力差がありすぎるので、出場は正直苦痛だった。
補欠ではあるが、チームリーダが気を遣い全ての人が試合に参加できるように
配慮してくれたため、勝敗にさほど責任のない、3位4位決定戦のファースト
ダブルスに出場することになった。
そもそも勝てる相手では全くないということと、勝っても負けてもまあいい
だろうという気持ちから、ここしばらくありえなかったくらいお気楽に試合に
臨むことができた。
3ショット目くらいから、妙に目が見える。脚が動く。いつもなら届かない
はずのシャトルに手が届く。ミスショットか、、と思える微妙な球が、ネット
インしてしまう。前回の試合ではバカにしていた回転レシーブを自ら3回も
してしまう。パートナーも別人かと思うほどよく動いている。
夢中だったから、自分ではわからなかったが、どうやらすごくよい試合を
していたらしい。ファーストセットは15-11で敗れたが、拍手喝采だった。
しかしセカンドセットでは、3本目のサーブですでに息があがり、貧血症状
が出てきた。景色がどうも薄暗く、ハアハアいってしまう。
それでもただ夢中にシャトルを追う。あんなにやる気がなかったのに、どう
してこんなに私はシャトルを追っているんだろう。わからないわからない。
そんなことを思ったのは一瞬だけ。あとはただひたすらシャトルを追う。
結果は15-4で惨敗だったが、チームメイトみんなが仰天した眼差しでむかえて
くれた。私達のプレイに感動したと言う。今までで最高だったと言う。
ただもう息が苦しくて、体育館の外へ出て木陰で休んだ。大きな木の葉っぱ
に包まれて、少しずつ回復していくのがわかった。力を抜くと、実力以上の
ものが出るということもあるのかもしれない。別にがんばったわけでさえなく
ただとりつかれたように、ひたすらシャトルを追っただけだった。
実はバドミントンはもう引退しようかと思っていたが、とりあえず引退は
延期することにした。バドミントンでも、仕事でも、続けていれば違う局面が
来ることもあろう。無理にやめない、ということをやってみようと思った。
【編集者の2行】
実は試合で対戦したのは、大学3年生の時のリーグ戦であたった工学院大学
のキャプテンだった。彼女は私を覚えていなかった。そんなものか。