毎日が本番

ライフログ

日曜の昼過ぎ、新宿三越前の路上で、Yくんに似た風貌の男の子が、箱を
 いくつか開けているのをみかけた。すでに何人か人だかりができている。
 
 最初は遠巻きに見ていたのだが、うっかりとほぼ最前列まで見に行って
 しまった。あまりこういう現場に出会う機会がないので、ちょっとした芸にも
 「きゃーすごいかもー!」と大喜びしてしまう。
 お手玉っぽいのとか、一輪車とか、バルーンマジックとか、たぶんすごく
 うまいわけではないのだろうけれど、かなり練習しないとできない技である
 ことはわかった。


 観客を盛り上げようとする語り口とか、いかにも今風の若者で、なんとなく
 時代を感じた。観客の反応には、東京を感じた。すごく盛り上がるわけでも
 なく、なんとなく遠くからチラリと見つつ、芸人に誘導されて拍手とか
 恥ずかしげにちょっぴりしちゃったりしているのだ。
 ちょっとしたボケにツッコミを入れる人もいなく、ノリが悪いところも東京
 っぽくって、なんかステキだった。


 彼を見ていると、なぜか家で一生懸命練習をしている様子が目に浮かんだ。
 お手玉を5つも6つも投げ上げながら回転してみたり、一輪車からころげ
 落ちたり、深夜のお笑い番組を見てメモを取ったり。


 わりと盛り上がって、お賽銭(?)用の帽子に200円入れて帰った。
 彼はこれで暮らしているというが、そんなはずはない。普段はシステム系の
 フリーターか学生といったところだろう。
 
 平日の今日、彼はどんな仕事をして過ごしているのだろう。もしかしたら
 今の私と同じようにネットにつないでメルマガでも書いているのかも
 しれない。また週末に盛り上がるように、ネタを考えながら、プログラ
 ミングしているのかもしれない。


 かなり楽しんだけれど、プロになれるほどのものは残念ながら感じられ
 なかった。それでも、どこかでもう一度、あの芸が見れたら、それはそれで
 うれしいかもと思った。
 

【編集者の2行】
 映画を見た後、ヒルズから家まで歩いてみた。わりと歩けた。
 夜散歩の季節到来。